2013年8月25日日曜日

【松尾バイトの「クリエータ養成講座」3】  写真とは何か。



<写真とは何か>



こんにちは

今日は朝からとあるワークショップの講師の仕事を終わらせ、本業でトラブルがあったので会社へ出勤し取引先と協議を重ね、ようやくの安息の時間にこれを書いています。

公私共に忙しい松尾バイトです(^^;;

さて、前回は「詩」についてお話しました。今回は「写真」です。これも、zine関係では写真を扱った内容のものも多く、おそらくzineと相性の良いメディアであろうと思うので、早い目に取り上げておきます。

そもそも、写真をいくつか集めただけで立派なzineになる、という点で、写真メディアはzineともっとも関わりが深いといえると思います。




ちょっと時系列で振り返ると、

2011 SONYがコンパクト一眼α(アルファ)シリーズのプロモーションとして「LOVE ZINE」キャンペーンを実施

2012 宝塚メディア図書館(写真系)にて「ZINE/BOOK GALLERY」開催

2012 世田谷233 写真系「233zine部」活動開始

2013 写真を使ったzine・リトルプレスの「ZINE FES」開催


などなど、写真メインのzine関連活動が毎年巻き起こっているのが現状ですね。




写真家にとっては、自分の作品をあつめた「作品集」であったり「プロフィール」なるものをzineで作るのは、とても安価で、かつ実用性のあるツールになると思います。

きちんとした編集や印刷出版という工程をたどるには、そこで取捨選択される写真があったり、あるいはコストが膨大にかかります。しかし、zineであれば、自作を思いのままに操ったり、即興的に「今でしょ!」を切り取ることだって可能です。

おそらく今後も、写真家の卵にとって「zine」は最強のツールとして活用されることだと思います。




========




さて、ところでそもそもクリエイターにとって「写真」とは何なのか、ということを今回は改めて問い直してみたいと思います。

ぶっちゃけ「写真は創造物ではない」という意見もあるくらいで、ひどい言い方をすれば「写真は芸術ではない」という考え方があるのも事実です。

ウィキペディアで「写真」を検索してみるとわかりますが、写真は事実をそのまま定着させているだけなので、そこに芸術性がないのではないか?という議論が生じるわけですね。

芸術うんぬんの議論はここではしません。もちろん、写真にまったく芸術性がなければ、現代において「写真」なるものや「写真家」なるものがここまで流通し、かつ評価されないはずなので、おそらく「写真と写真家には芸術的意図とそれによってもたらされる価値がある」と私は思います。


ただし、とても重要なのは、写真の価値はひとえに「被写体の価値」に連動するということです。


すぐれた写真家が何をしているのか、といえば、「価値のある被写体を発見し、それを巧みな手法で定着させている」のであって、けして「無価値な被写体を、芸術的に装飾している」わけではない、ということです。


これを平たく言えば、写真の価値は「被写体の価値」に尽きる、ということでもあります。


これを実感するには、優れた写真を見てみればよろしい。


ちょっと外へ出てみましょうか!




セカイを震撼させた20世紀の衝撃写真




まあ、いわゆる「歴史に残る写真」を集めたものですが、見れば見るほど、「被写体の価値」に気付くと思います。この価値を発見し、残した写真家も賞賛されるべきですが、その被写体のもつ事実は、やはり写真家そのものよりも重いのです。

あるいは「有名な写真」で検索してみてもいいでしょう。やっぱり、そこに写っている「被写体の価値」に気付くと思います。



========




被写体の価値、ということばをさっきから使っていますが、間違わないでほしいのは、「被写体である個人や、物」に価値があるわけではありません。

もっとわかりやすく言いかえれば、それは「被写体の周囲に存在する物語の価値」とでも言うべきでしょうか。

天安門事件に際し、戦車に立ち向かった人物は「誰か」すらわかっていません。でも、その状況と、そこへ至る流れと、そしてその行為の持つ意味という一連の「物語」が凝縮されているから、写真は価値を持つのです。

戦火に逃げまどう少女の写真も同じです。彼女が価値ある人物だったから意味を持つのではありません。

アインシュタインが偉いのではなく、アインシュタインがベロを突き出しているというその意味が価値を高めているのです。

ハゲワシと少女の写真は、その写真が持つ「物語」が強烈すぎたために、それが見るものに直接的に伝わり、写真家を自殺に追いやりました。





==========




なので、写真を撮っているアナタ・ワタシへの松尾からのアドバイスはひとつです。

「そこに物語があるかどうかを、もう一度問い直してみよう」

ということ。

風景写真でも、人物写真でも、スナップでもポートレートでも、被写体の背後に「物語」が見えれば、その写真は価値を持ちます。

しかし、「物語を持った被写体に出会う」ことは難しいものです。なので、少し訓練してみてください。





<実習> 数枚の写真で「物語」を表現してみよう。

一枚に物語を凝縮するのが難しければ、少ない枚数で「物語全体」を表現してみる、というのはいかがですか?

数枚の写真で、どうしたら物語を生み出せるでしょう?


じっくり悩んだり、さっそく外にカメラを持って飛び出してみてください。

0 件のコメント:

コメントを投稿