2012年5月11日金曜日

「はじめてのzine」ワークショップ第十四回 『中綴じzineを作る』準備編

こんばんは

zine部での1paperzine交換会は、かなり盛り上がっていますね。後から完成している方もたくさんおられるので、後半戦に突入(笑)という感じです。

さて、1paperでzineを作るという試みも、そろそろ次のステージへと移行しそうな予感(^^

zine部では、次から「中綴じのzine」を作るという企画がもうすぐはじまります。

というわけで、久しぶりのこのワークショップでは、「中綴じ」についての下準備をしておきましょう。


中綴じとは、週刊誌などでおなじみの、紙を半分に折って真ん中をホチキスや針金でとじたもの。中綴じホチキスですぐに作れるので、zineの世界ではもっとも主流なフォーマットになっています。

さて、この中綴じ我々が作るのはいわゆる「小冊子」なのでページ数もそれほど多くないのですが、まず、自分の持っているホチキスでどれくらいの枚数の冊子が作れるのかしっておいて損はないですね。

<ワークショップ 中綴じホチキスの限界に挑戦する>

誰もが家に持っている「ホチキス」というやつ。これは通常no.10の針(10号針)を使います。

この針でとじられるのは、コピー用紙で15枚から20枚くらいまで。中綴じホッチキスの「ホッチくる」だと15枚、
ナカトジールではホチキス性能に準拠しますが、最大20枚対応です。









MAX HD-10V(ホッチくる)
http://wis.max-ltd.co.jp/op/product_catalog.html?product_code=HD91220


15枚綴じということは、ページ数で言えば4倍になりますから表紙込み「60ページ」の冊子が作れることになります。
20枚綴じの場合は、80ページですね。


ところが、100ページの中綴じ本を作ろうとすると、通常のホチキスでは限界があることがわかります。

そこで、ちょっと大型のホチキスを使うコトになるのです。

もちろん針をチェンジ! ホチキスの針にはいろんな種類があるのですが、私はno.3の針(3号針)というサイズも併用しています。


はい↑写真。

右がふつうのホチキス針、左が3号です。ちょっと大きい。

このサイズを使う中綴じホチキスは、MAXさんからも出ているし、コクヨさんからも出ています。

値段が安いのはコクヨのSL-M41




http://www.kokuyo-st.co.jp/search/1_detail.php?seihin_sikibetu=1&ss1=05&ss2=05B2&sid=100104924&ss=1&ss1=05&ss2=05B2&ssryo=1&pgmax=20

カタログ上の性能は20枚までなのですが、3号針なのでもうすこし大丈夫です(笑)

だいたい実売3000円以内で買えるのでおすすめ!

おなじ性能のMAX製品だと倍くらいの値段がします。

3号針機の最高枚数は30枚です。ということは120ページの大物もOKですね!


ここから先の枚数を綴じたい場合はホチキス本体が2万円くらいする大型製本ホチキスが必要になるので、ちょっと現実的ではありません。

というわけで、自分の持っているホチキスの限界を試してみてください。



_______

☆ちなみに☆

余談ですが、本と冊子のちがいって知ってます?



↑これは一枚の紙を折っただけのもの。ページ数で言えば、4ページです。

というわけで、

4ページのものは「冊子とも、本とも呼ばない」ことになってます。紙です(笑)


ユネスコの定義だと

5ページから48ページのものを「冊子(パンフレット)」

としているようで、そうすると

49ページ以上のものが本


ってことですね。

以上豆知識でした。

2012年5月7日月曜日

スマートほん はじめました (通信機能付きZine)

みなさんこんばんは

zine部のみなさんには1Paperzineの交換と同時にお知らせしていました「スマートほん」の先行公開も、だいたいひと段落しましたので、当ブログでもいよいよ公開!

実は一足先に違うブログではちょこっと書いたりしていたのですが、ここではもう少し細かく説明しておきます。

 スマートほん「読メール」
仕様というのは、私が提案しているzineや手作り冊子・本の形態のことで、

 本に通信機能がついている!

というのが最大の特徴です(^^

しくみは簡単で、



↑こんな感じになっています。

表紙から見るとふつうの本や冊子なのですが、裏表紙に「宛名欄・切手欄」と「お手紙欄」がついています。

本そのものは袋とじのようになっていて、中身がバラバラひらくことはありません。切り取り線をペーパーナイフなどでサクっと切っていただくと、そのまま本になります。

サイズは、定型郵便サイズに収まっているので、本の厚みがだいたい40ページまでなら、80円切手で送ることができます。

80ページまでなら90円になるので、90円切手を活用すればそこそこの分量まで送ることができます。

先行公開!ということでzine部のみなさんのうち何人かには既にレビューしてもらっております(^^

「同封していただいたスマートほん、とても勉強になりました!
早速活用したくてうずうずです><*
覚えたことすぐやりたくなりますね…!
スマートほん送ってくださってありがとうございました!」

「一緒に送っていただいたスマ本 私も作りたくなりました!
ありがとうございました」

「スマートほんについては、ちょっとむつかしそうな印象を持ちましたが
ぜひ作ってみたい!zine部の企画でもできたら楽しそう◎」

「うわさのスマートほんも、これからのzine部の動きに
おおいに活躍しそうな内容でおもしろかったです。
次のスマートほんにも期待しています^^」

「スマートほんも斬新だな~と思いました!袋とzineだ(笑)
こんな風に発送してみたいですね!」

「興味深いzineが届きました。スマートほん、面白かったです!今度はああいうタイプのzineも作ってみたいです。(DMとしてもいいかも)ありがとうございました!」

などなど。ぜひみなさん自分なりにアレンジしてオリジナル「スマートほん」作りを楽しんでくださいね!!!

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☆「スマートほんをはじめよう クリエータのための通信機能付zine入門」はご希望の方に頒布しています。

内容は、スマートほんを作るために必要な知識や技術について解説しているものです。郵便関係の法令やこのzineの仕組みなどポイントをぎゅっと押さえた中身で、スマートほん作りにすぐ役立てることができます。

 byte_matsuo☆yahoo.co.jp

(↑☆をあっとマークに変えてください)

 までご連絡くださいませ。冊子本体+送料込み200円お願いしています。☆

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さて、今回の「スマートほん 読(よ)メール」には、お友達がいます。

というのも、同じような機能をもった冊子類を作っておられる方がほかにいらっしゃるからです(^^


①寒竹泉美さんの「葉書小説」

DANTALIONさんで取り扱っておられたので、これを知ったときには「これだっ!!」と思いました(^^

私のスマートほんの大先輩になります(笑)

というわけで、私も購入してました。



2枚ならべていますが、表面と裏面です。

絵はがきの絵の部分が小説(ショートショート)になっているという素晴らしい作品。こちらは葉書なので、50円切手を貼ればそのまま送れます。

情報量は少ないのですが、「物語を送る」という発想がほんとうにすごい!と思います。スマートほんの思想は、「これの分量を増やしたい!どうせなら本を送りたい!」というのが原点といってもいいかも。

寒竹泉美さんは、本職の作家さんなので、画面構成が文字文字していますが、個人で作成する場合にはイラストや写真などをちょっと配置してあげても可愛らしいかもしれません。


②文庫本葉書

http://www.bookpickorchestra.com/works/bunkobonhagaki.php

ブックピックオーケストラさんというユニットの方々がデザインなさっている、なんていえばいいのでしょう?

「本を送るシステム」

ですね(^^;

詳しくはリンク先を参照ください。

私はスマートほんを頒布しはじめてから知ったのですが、こちらは、「ふつうの文庫本を封筒の中に入れて送る」みたいな感じです。

↑これだとイメージがちょっとちがうのですが、

「宛名と手紙のスペースがある」というところはスマートほんと一緒です。

「中には普通の文庫本が入っている」

「その本をイメージすることばが、ちらりと表に印字されている」

「中にどんな本が入っているかはわからない」

↑このあたりは、スマートほんとはずいぶん「ねらい」がちがいますね(^^

価格もだいぶ違います。

貼る切手は冊子小包扱いなので「210円」です。

封筒に本が入った状態で、価格は700円だそうです。



とまあ、こんな感じで、「本・冊子+郵便機能」という」スタイルそのものは、それほど奇をてらったものではないのですが、自分でせっかくzine(本)を作るのですから、そのまま送っちゃおう!というのは面白いんじゃないかな?と思っています。


2012年5月3日木曜日

松尾バイトの「zine学」入門 その6「本の歴史をたどってみよう(2)」



みなさんこんにちは

GWです。どこにも行かないでブログ更新していますが、そのうち出かけます(笑)

さて、本の歴史をさかのぼり中な「zine学入門」のコーナー。前回は巻物を取り上げましたが、少しずつ本に近づきます。

というわけで前回のおわりに「次は綴じることに注目するよ」ということをちょこっと書いたのですが、いわゆる

綴じる

という概念の一歩手前に変な?綴じ方があるので今日はそれを実験してみましょう。




<「胡蝶装」を体験する>

胡蝶装(こちょうそう)というのは、別名「粘葉装(でっちょうそう)」ともいうらしいですが、胡蝶という響きと、その形態が美しいので(蝶が止まっている姿になる)、私は胡蝶装の名前のほうが好きですね(^^

胡蝶装は「綴じる」というよりも折本の時にすこし出てきた「貼る」という作業の延長にある綴じ方です。



↑まず、紙を一枚用意します。今回はA4を半分に切ったA5サイズの紙を横置きに。

この紙を真ん中でいちど半分に折ります。

とりあえずは折るだけ。


おなじように、印刷されたおなじサイズの紙をたくさん作って、これらもとりあえず折ります。このとき、印刷された面が中向きになるように折ります。





↑折られた紙を2つ並べました。そして、画像で水色の線が引いてあるところに糊をつけます。

これをくっつけて貼ってゆくわけです。

つまり「綴じる」というより「貼る」作業ですね。


この胡蝶装、どこが蝶なんだ?!と思われるかもしれません。





まずは↑のように、ふつうに開いてみます。

もとが1枚の紙に折り目をつけただけなので、ふつうに平たく開きます。

ところが、



糊をつけたページのところは、ノリの部分だけ、「本のノド(奥)」まで開くことができません。

この姿が、チョウチョが止まっているように見えるから「胡蝶装」なのです(^^

ちょっと優雅な感じがしませんか?




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<ちょっと補足な講義>
胡蝶装はいろんなバリエーションがあって、基本は上の形なのですが、国や時代によって考え方がいろいろあるようです。

①片面印刷の胡蝶装

片面印刷での胡蝶装は、印刷面が内側になるように折って貼ることになります。つまり、綺麗に開く面が常に印刷面になるわけです。

すると、胡蝶になる面は印刷していないので、白い紙がそのまま開くことになりますね。

はい、それでOKらしいです(笑)

つまり、このタイプの胡蝶装では、印刷面ページと真っ白い紙面ページが交互にきます。


②片面印刷の胡蝶装+改造版

↑のように白い面が見えてどうもなあ、ということで、白い面同士を糊でくっつけて見えなくしてしまう、という方法もあります。

印刷面が常に見えて、白い面は糊付けで隠れてしまう、という方法です。


③日本式胡蝶装(両面)

日本の胡蝶装は印刷ではなく手書きが多かったため、両面バージョンになっていました。つまり、白いページはまったくなく、その代わりノドまで開くページと、開かない(蝶になる)ページが交互に現れるというしくみです。




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というわけで、ちょっと変わった装丁をしてみたい場合に使えるワザとして覚えておくといいですね!

この装丁は「廃れてしまったがゆえに、逆に今となっては新鮮な感じ」がします。