2019年10月17日木曜日

初心者向け、天体望遠鏡で写した月の写真



 前回のつづきです。


 手作り望遠鏡スターアローシリーズの見え味の改良を目指して、いよいよながら「天体写真」っぽいものに挑戦するこのコーナー。



 今回は、初心者向け天体望遠鏡の実際の見え方を写真でおとどけ。



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<大一光学 M-60I> ”改” スターチップ 星屑号 口径60㎜ 焦点距離600㎜

 






 カメラは iphone6 コリメート撮影


  まだ初回なので、露出をどのくらいにすると適正なのかよくわかっていません。



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<ビクセン スペースアロー600> 口径50㎜ 焦点距離600㎜



 
 





 カメラはおなじくiphone6です。


 下は光輝いていますが、実際にはこれでも露出を落としています。満月に近い月は、通常では完全に露出オーバー。


 どのくらいの露出にすれば綺麗におさまるのか、精進が必要です。




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 体感的には、口径60㎜の大一光学マシンより、口径50㎜のスペースアイ600のほうが見やすいというか、像も心なしか明るいような気がします。


 これは、対物レンズの性能というより、おそらくはツアイスサイズの接眼レンズとアメリカンサイズの接眼レンズ(あるいはドローチューブ全体も?)による


「視野の広さ」


に関係すると思います。 大一製は接眼レンズが「F型」で、スペースアイ600が「ケルナー型」なのも関係あるでしょう。


 視野が広いと、スキッと見えますねえ。


 ただし、画像の解像度感とかはまた別なので、このあたりももっと研究します。




2019年10月16日水曜日

100均 老眼鏡で作った天体望遠鏡はどんな風に見えるのか 写真あり



 先日より、いよいよ自作天体望遠鏡などの「天体写真」の撮影にとりかかっています。


 もちろん、初心者向けのチープな装備で試していますので、本格的なものではありません。


 なおかつ、まだまだ実験段階です。



 まずは、スターアロー600の手作り望遠鏡の天体画像です。



↑ 我らが「スターアロー600」 作り方など詳しいことは
https://arekore-doresore.blogspot.com/2019/08/blog-post_18.html


をどうぞ。



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 この望遠鏡、ガイド鏡やファインダーはありませんが、まあ筒の前端と後端を合わせるようにみると月なら比較的容易に導入できます。











 ざっくりの見え方はこんな感じ。まだカメラも手持ちなので、うまく合焦できてない面もありますが、肉眼ではもう少し綺麗にはっきり見えます。


 シングルレンズで、100均レンズなので、けっこう収差も出ていますが、実験では口径を絞ってもっとクリアに見るということもやっています。(まだ写真はうまく撮れません)



 口径を絞って収差を減らす実験には、対物レンズに↑のような簡易的な絞りをはめこんで、20ミリから30ミリくらいの口径のパターンを試行錯誤中。


 たしかに口径を絞れば、月はかなり明るいので、まったく問題なくシャープに見えます。




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 ただし。


 口径を絞ると起きる手作り上の課題がわかってきました。



 それは、ざっくり簡単に言えば「光軸」の合う位置なのですが、要するに、スターアローのような紙筒で、かつ3本も継いでいるので


「不安定で、口径が60ミリもある筒に対して、口径20とか30の光を取り込んで、接眼レンズ側と合焦するポイントが、とてもシビアになる」


ということなのです。


 もっと簡単に言えば、「めっちゃはっきり見える位置が、すごく狭いので、ちょっと接眼レンズに対しての位置や角度が変わったら、像が見えない」ということです。



 このあたりは、紙筒やペットボトル利用の精度が関係してきます。通常の望遠鏡だと、ある程度造りがカッチリしているので、それほど大きく光軸がずれることはないと思います。



 もうちょっと研究を深めますね。






2019年10月6日日曜日

こんな天体望遠鏡が欲しかった!スターチップ600 ~星屑号~


 日本全国の天体望遠鏡マニアのみなさんこんにちは。


 これまで望遠鏡ファンとして、いろんな初心者向け天体望遠鏡を集めたり、工作レベルの望遠鏡をいろいろ作ってきたわけですが、いよいよその集大成が完成いたしました。


 まず、「チップスターと三ツ矢サイダーで作る『スターアロー』シリーズ」の工作望遠鏡を作ってきたわけですが、これが究極形です。


  なんと、三ツ矢サイダーはどこへ行った?という状態になっていますが、それでもぜんぜんOK。


 チップスター鏡筒のよさを最大限に生かした設計です。



 それでは実物を!


 じゃん!



 ちょうど、チップスター筒が2つぐらいの長さなので、最小の加工で作れちゃいます。


 


 前玉は、口径60を採用。ちょうどチップスターの筒も60サイズです。



 そして!スコープテックさんも苦笑いしてしまう、のぞき穴ファインダー仕様です。


 


 左側面のカナ表記の「チップスター」もほこらしげ(笑)


  


 フリーストップ経緯台、いわゆるワンタッチ三脚仕様の名づけて


「スターチップ600」


です。ヤマザキさんに遠慮して、あえてのスターチップ。なんとなくスターダストっぽいイメージで、いいんじゃないでしょうか。


 今度の600はもちろん焦点距離です。この機種 口径60mm・焦点距離600㎜ なり。



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 ビクセンの スペースアイ600 と 並べてみました。赤い鏡筒がかっこいいです。

そういえば、スペースアイ700にも赤モデルがありましたよね。



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<作り方>


 部材を個別にあつめてきて、鏡筒のみチップスターで作る方法ももちろんあります。


 ■ 口径60mm用レンズとセル

 ■ 60mm筒用の接眼部とドローチューブ


をメインに構成しても、もちろん作れます。


 ただし、今回はそこまでせずに・・・・。


 せずに・・・・・。



 はい!そうです。なんとなく怪しい?と思ったとおり、






 なんだ?この切り込みは。



 ・・・。


 ・・・・・・・。


 そうですね。かぶせているのです(爆)ネジが出ている部分に切り欠きを作っているだけ。

 実は、メインとなる鏡筒に、カバーのように外からかぶせて、その上でセルや接眼部を締め付けているというわけ(笑)


 でも、のぞき穴ファインダー部は、ちゃんと穴あけ位置を出して、ネジ止めしています。


  ベースモデルは、大一光学製のM-60I互換機です。


 スコープテックさんで、出してくれないかな~。ヤマザキとコラボしてほしいな~というネタマシンでした!




2019年10月5日土曜日

100均の老眼鏡で「天体望遠鏡」を作る! 第三弾 スターアロー「ほぼーぐ」




 毎度おなじみ天体望遠鏡工作のお時間がやってまいりました。


 100均の老眼鏡とルーペで作る天体望遠鏡「スターアロー」シリーズもいよいよ第三弾!



 ここまでのあらすじ↓


<1> 100均の老眼鏡で「天体望遠鏡」を作る! スターアロー600
https://arekore-doresore.blogspot.com/2019/08/blog-post_18.html 


<2> 100均の老眼鏡で「天体望遠鏡」を作る! 第二弾 スターアロー380
https://arekore-doresore.blogspot.com/2019/08/blog-post_28.html 





 スターアローとはその名のとおり、「チップスター」の筒と三ツ矢サイダーのペットボトルで作る天体望遠鏡工作です。





 さて話は変わりますが、大一光学製の天体望遠鏡をネットなどで落としてくると、けっこうな割合でダンボールの外箱に



「野鳥観察に!」


なんて言葉が書いてあります。


 天体望遠鏡をふだん覗いている人も、あるいは、星空好きな人も、このセリフには一瞬戸惑うはず。


 というのも、屈折式望遠鏡では、覗いた対象物が逆さまになって見えるので、鳥さんの姿をバードウォッチングしても、逆さまでは見えづらいだろう、と誰もが思うからです。



  なので、まともな天文マニアなら


「うーん、バードウォッチングするなら、正立系のフィールドスコープだよなあ」


とか


「天体望遠鏡で野鳥を見るのは、ちょっとなあ」


とか、そんな疑問がふわっと脳裏に浮かぶはずなのです。




 それでも、あえて野鳥を見るべし!と書いている大一さんの意図が何かあるはず・・・・、と思っていたら、その理由がなんとなくわかりました。


 大一光学系に限らず、天体望遠鏡のセットには、天頂ミラーがおおむね付属しています。ほとんどの運用では、アイピース直視ではなく、間にこの天頂ミラーをかますことが大半だと思います。


 すると、なんということでしょう!!!(ここで、ビフォーアフターのテーマ流れる)



 天頂ミラーを使うと、左右は反転したままだけれども、少なくとも上下は正しい像になっちゃうんですね。


 だから、ある意味強引ではあるけれども、たしかに野鳥観察に使えなくはない、ということになるわけです。



 そこで、ビビビときたのが、



「正立ではないけど、裏像でいろんなものが見られる望遠鏡をつくろう!」


ということですね。



 




 こうして出来上がったのが、これじゃああああ!!!!!


 ああ!なんということでしょう。この特徴的なデザイン、短焦点ならではのコンパクトなスタイル、これはまさに



 トミーテックのボーグ



ではありませんか!!! 赤いけど、ボーグっぽい!!!



 もはや、ほぼボーグということで



スターアロー「ほぼーぐ」


と命名。




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 アホみたいかもしれませんが、かなりの設計思想が詰め込まれたシロモノです。



 まず、採用したのは、チップスター(長いほう)の筒一本のみ。

 短いのは使いません。





  それに、今回はたまたま「三ツ矢サイダー50周年記念バージョン(赤)」があったので、そちらを使いました。なので、ペットボトルがグリーンではなく金色なのです。



 なぜ、チップスター通常筒1本のみで延長しないかと言うと、


「天頂ミラーを入れると、合焦位置が伸びる」


からですね。 そうすると、実質的には筒がのびていることと同じになるので、ミラーを入れるがために、筒をあえて短くして調整する必要があるわけです。



 焦点的には、いつもの100均老眼鏡の「3.0」を今回は使います。


■ スターアロー600 → 1.5

■ スターアロー380 → 2.5

■ ほぼーぐ  → 3.0


です。





 今回は、3.0の老眼鏡レンズを搭載。そして、お気づきかもしれませんが、口径をあえて少し絞っています。


 これは、けして、色収差防止のためではない!!!!!



  → えーっと、後ろにある鏡のサイズをけちって小さくしたために、口径をしぼっているのです。笑




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 今回、天頂ミラーを作るに当たっては、算数のお勉強がいくつか出てきます。



<1> ミラー部分のサイズは、ペットボトルがきちんとおさまり取り付けできること。


 → ペットボトルが65ミリ程度なので、それをはめる三角形の台座部分は、75×75の正方形

 (70では小さすぎてムリ)




<2> ミラー部分の斜めのところのサイズは、すなわちルート2なので、75×1.414=106

 → それに伴い、ミラーサイズは正方形ではダメ、本来は長方形



<3> しっかりした厚紙で、三角台座を作ること。のりしろは小さいほうがよい。鏡と干渉しないように。


 




 ↑こんな感じのものを作ります。


 上面それぞれ75×75 底面は75×106になっています。



 もちろん、この底面全体に鏡を敷いてもよいのですが、実は、光路そのものをよく見てゆくと、口径より必要な鏡が大きくなることはないので、口径が40ミリなら


「40×57」


程度の鏡でクリアできることになります。


 今回、松尾さんは、50×50の鏡でケチりましたので、口径40ミリだとちと足りない可能性があり、口径を30ミリ程度に絞ったというわけ。


 


 こんな感じで取り付けます。GPクリアーのボンドで、紙とプラを接着。


 



 青く見えるのは鏡の保護シートです。


 今回は0.5ミリ厚のプラ板に蒸着した鏡を使いました。・・・しかし、結果から言えば精度があまりよくないので、望遠鏡としては像が多少ゆがみます。


 この鏡部分は、ある程度予算をかけてまともなものを使ったほうがいいかもしれませんが、



こんなもんに予算をかける必要もない!!!!



ので、矛盾です。おなじプラ板でも、厚みがもっと厚ければ、像ゆがみが少ないかもしれません。




 人身御供という屍の積み重ねが必要




だと思います。(なので、鏡サイズをけちったりしてしまうのわかるよね?笑)







 でも、こうしていちおう上下は正しくみえる



ほぼーぐ



が完成したので、ヨシとしましょう。野鳥観察のおともに、いかがですか?





※ というわけで予告です。


 スターアローシリーズの集大成!!これが天体望遠鏡の中の天体望遠鏡だ!


 泣く子も笑うあっと驚く新製品が、まもなく登場!


 おたのしみに!







2019年10月4日金曜日

Vxien スペースアイ600/700にレッドドットファインダーを搭載!



 日本全国の天体望遠鏡マニアのみなさんこんにちは。


 このブログでも何度か、ビクセンの入門用天体望遠鏡「スペースアイ」シリーズの面白さに触れていますが、今回は、



 スペースアイ600/700にレッドドットファインダーをつける



という工作です。



 いや、工作というほどではありません。なんと



 そのまま付きます!



いえーい。



 ビクセンのウェブサイトでも触れられていない、OEM扱いの初級望遠鏡シリーズである「スペースアイ」は、基本的には中国のどこかで作られた「ビクセンであってビクセンでない」製品です。


 しかし、ビクセンらしいこだわった構成、仕様になっているので、中国製品をそのまま安価で叩き売りしているわけではありません。


 
 というわけで、このブログでは、スペースアイを「哲学的名機!」とまで謳って褒めちぎっているわけですが、


ビクセン スペースアイは、哲学的名機である!
https://arekore-doresore.blogspot.com/2019/09/blog-post.html



今回、OEM機ならではの面白い箇所が見つかりました。



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上の記事でも取り上げていたのですが、スペースアイ600/700のファインダースコープ台座は、通常のものとはちょっと異なった、変わった形状のものがついています。



 普通の国内産天体望遠鏡のスコープ台座は、2つのネジで取り付けるようになっているものが多く、それが近年の高級機、上級機では、ファインダー用のアリガタ・アリミゾで取り付けるようになっているものも多いようです。


 ところが、スペースアイ600/700の取り付け台座は、差し込んでツメで止まるだけの、あまり見られない独自形式です。


「なーんで、こんな形状なのかな?まあ、初心者には取り付けやすいし、まあいいか」


という感じで前回は捉えていたのですが、 実は調べてみると



一部のセレストロン機と互換



なことが判明!


 おそらく中国側のOEMメーカーさんが、セレストロンの台座と互換性のある部材で製作しているのではないか?と推察します。




 セレストロンという会社は面白い会社で、国内の販売会社は、「セレストロン天体望遠鏡・サイトロン双眼鏡/ライフルスコープ」を売っており、なおかつ


ベレッタ


という名銃のメーカーを扱っています。



 なるほど、スコープとは本来、ライフルのためにあるのですね!ゴルゴもびっくり。





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 まず、これがオリジナルのファインダースコープ


 



台座は↑こんな感じ。差し込んだらツメでひっかかるタイプ






 じゃじゃーん。


 レッドドットファインダーじゃあああ!!!!



 
前から。









 作動。




 


 かっちょいーーーーー!!!




 ※ ただまあ、今回買った中国製の安物のスポットファインダーは、説明書はついてないわ、電池は何を使ったらいいかは書いてないわ、プラ部品の一部は割れていたわ、でヒドい製品でしたので、オススメはしません(笑)


 セレストロン互換、というおもしろさに魅かれて買ってしまいましたが、セレストロンでも別の台座形式のものもあるので、あえて型番とかは書きませんでした。



 スペースアイ600/700を持っていて、スコープ台座の形状を判別して「ははーん、これだな?」とピン!と来た人だけ、お遊びで購入するとよいと思います。


 

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 余談。


 
形状とファインダー台座から考えて


スペースアイ700の鏡筒



ケンコー Sky WALKER New SW-Ⅲ PC の鏡筒



は同じと思われます。ということは SW-Ⅲ PC にもレッドドットファインダーが付くはず。


 おそらくこのシリーズは中国・台湾のSYNTAがOEM製造だと思うのですが、未確認。



 SYNTA はセレストロンのOEM と  Sky Watcher社のOEM もやっているようです。



 ケンコーからはナショナルジオグラフィックブランドの望遠鏡も出ているのですが、


90-70000 屈折式天体望遠鏡
https://www.kenko-tokina.co.jp/optics/tele_scope/ng/4007922001012.html


というモデルのレッドドットファインダーが、今回私が買ったのと同じものだと思います。


 こうしてみると、OEM元がおなじものは使い回しが利くことがわかりますね。