2019年8月25日日曜日

100均の老眼鏡で「天体望遠鏡」を作る! 第二弾 スターアロー380



 100均の老眼鏡とルーペで作る天体望遠鏡「スターアロー600」の記事は、意外とたくさんの人が読んでくれたようで、嬉しい限りです。


 夏休みの工作にもちょうどよいので、ぜひお試しください。


スターアロー600
https://arekore-doresore.blogspot.com/2019/08/blog-post_18.html


 というわけで、鏡筒600ミリのスターアロー600は、「長い!」ので、今回は、小学生でも作れて学校に持って行きやすい短焦点タイプ


 スターアロー380


という新製品を登場させました(笑)


 


 スターアローとは「チップスター」と「三ツ矢サイダー」で作る天体望遠鏡のこと。


 今回は、鏡筒長さが(約)380ミリです。基本構成は前回と同じですが、筒が

「チップスター大」と「チップスター小」をひとつずつ使う

 のが異なっています。

 サイズが小さくて、小学生でも取り回しが良くなりましたが、その代わりに


「倍率が下がっているので、スターアロー600のほうが、お月様は良く見える」

ことになります。お気をつけてください。


 倍率が下がっているので、手持ちでも大丈夫なため、三脚は無しにしました。




 ■ 必要なもの 三ツ矢サイダー500ml チップスター大小


 

■ フタは2つとも使います。








 後ろを丁寧に破いて筒にする。




 フタ側が両外になるようにテープや紙などで貼り付けて留める。




 
 黒い模造紙を中に。



 ペットボトルの加工。


 





 こちらは内部に黒い模造紙を筒にして貼ります。





 望遠鏡の前方の黒紙は貼り付けてもOK。ペットボトルとスライドさせる側は、貼り付けないほうが出し入れしやすいです。





■ 100均老眼鏡は、今回は2.5度を使います。(600は1.5度)

■ 100均のルーペは、GPクリヤーで接着します。













 レンズフードの作り方とレンズのとりつけ。

 穴の直径は40から45ミリくらい。口径40の望遠鏡です。







 鏡筒の長さの違い。

 上が スターアロー600
 下が スターアロー380



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 基本的に作り方は同じなので、ぜひお試しください!

 わたしも600と380の見え方の違いをこれからいろいろ調べてみますね!



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理論値

対物レンズ 2.5度 焦点距離400mm

接眼レンズ 30~40mm

約10倍~13倍


手作り 自作 木製三脚を作ろう! ~ ヘッド編 ~



 前回に続いて、今度は三脚のヘッドを作りましょう。

 
 三脚のヘッドというのは、用途に応じていろいろ形状が異なります。

 天体望遠鏡向けの場合は、「経緯台」を作る必要がありますが、A)「自由雲台」でも代用可能です。

 コルキットさんの木製三脚の経緯台は、もともとコルキット望遠鏡に直付けを想定しているため、ほかの用途に三脚を流用することは考えられていません。


 当然、三脚と望遠鏡はがっちり一体となってしまうため、結束バンドなどでの仮止めが推奨されています。


 今回の「松尾式三脚」では、このB)コルキットがっちり経緯台も、既成部材で再現します。


  そして最後に、いろいろな応用が利くようにC)カメラ向け雲台も開発しちゃいました。



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A 自由雲台を取り付ける




 前回製作した台座(三脚)に、自由雲台を取り付けます。近年では中国製の安価なものが数百円で出回っています。HAKUBAの自由雲台も1000円程度からあります。


 自由雲台には、下に「1/4インチネジ穴」があるので(他サイズの場合もあります)、三脚の台座から「1/4インチネジ」を突き刺す感じになります。






 必要な部材は

■ 六角ねじ 1/4 75ミリ
■ 六角ねじに対応したノブ(M6用が代用できます)
■ ワッシャー(M6用が使えます)

です。

 三脚の下からネジを上に出して、自由雲台のおしりに突き刺す形です。ただし、自由雲台は、締め付け用のネジが横から出ているので、それが台座に干渉します。

 干渉を避けるためには、

■ 24×24 もしくは25×25の木材を20ミリ程度に切ったもの

をスペーサーとして間に入れます。




 これらを合体させると





 という感じ。実際の雲台との接合においては、高さ調節をスペーサー木材で行ってください。



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B コルキット互換経緯台


 コルキットさんの木製三脚キットは、鏡筒を支える金具がオリジナルで作られており、これが台座よりも小さいことで、三脚の脚が干渉しないように設計されています。

 すばらしい!


 ところが、市販の既成部材では、この鏡筒支持金具が売っていないので、おなじ機能をもつものを自作しなくてはなりません。


 




 これも木材で作りましょう。

■ 9ミリ~10ミリコンパネを直径100ミリに切り出したもの

■ スペーサー木材 (大) 60×60×20程度の木材


 中心に穴を開けます。






■ L型金具 2つ


 ■ 30×40×80程度の木材 鏡筒支え



■ M4の50ミリネジと蝶ナット


■ L金具を取り付ける10ミリ程度の木ネジ


 これらを組み立て、台座の中心にネジを下から差し込みます。今回は1/4インチネジでなくてもかまいません。M6ネジでOK。





■ M6 80ミリ六角ボルトと、ワッシャー


 これを組みあげてゆきます。






 鏡筒支えになる木材の長さによって、天体望遠鏡を取り付けた時に、天頂付近まで角度を上げられるかどうかが変わってきます。


 
 写真のようにある程度の長さがあると、筒がついても天頂に向けられることがよくわかると思います。





 構造は↑のようになっています。こちらもスペーサー木材で、脚に干渉しないように円形のヘッド台座を上げています。

 スペーサー木材は接着してしまってもかまいません。経緯台として回転するのは、円形ヘッド台座です。



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C カメラ雲台への応用


 最後は応用編です。


 




■ コの字金具既製品と対応したワッシャー(M6用の大きいもの)









■ 六角ボルトねじ M6 70ミリ と 下部(三脚台座用)ワッシャー


とチョイスです。今回もコルキット互換ヘッドで使ったスペーサー木材を使います。






 組み方としては↑になります。

 下から、M6ネジで突き刺します。それをコの字金具の下側で受けます。こちらは1/4ネジでなくても、下側と台座をつなぐだけなので、OK。


 一方コの字金具の上部分は、1/4インチネジを下から出す必要があります。


 写真では、

「1/4インチ六角ボルト」

「M6用大きいワッシャー」

「1/4インチ蝶ナット」


が写っていますが、この構成は単なるイメージ図で、実際にはこれでは役に立ちません。

  
 ヘッド上部の下側から

「1/4インチ蝶ボルト」(蝶に棒がついたもの)

を突き刺してカメラなり、機材なりに締め付ける必要があるのですが、そういうものが既製品では売っていないので


■ 棒状の長ネジ、1/4インチサイズ



■ 1/4インチ蝶ナット


の二つを加工して、蝶ボルトを作る必要があります。金ノコで紀って、瞬間接着剤や強力接着剤でボルトとナットをくっつけるということです。

(これは加工のレベルが高いので、最後まで自作にこだわりたい人向け)


 あるいはチェンジノブをもうひとつ使えば、コの字金具の上部の下にもノブが来るように配置することはできます。

 この場合は1/4インチ六角ボルトの長さが合うものをうまく探してきてください。

 カメラの三脚穴は、機種によって異なるのですが、


 ネジ穴深さ5.5mm以上


というのが多いようです。逆に言えば、5.5mm以上の長さを突き出させてしまうと、機材と干渉することがあります。



(参考)キャノンの見解
https://faq.canon.jp/app/answers/detail/a_id/12467


 安全を考えると、突き出し長さは「5mm」というところでしょうか。

(座金、ワッシャーなどで調整する必要がありますね)



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 とまあ、三脚足部とヘッド部の作り方をだいたい頭に入れておけば、各部の寸法などは自由に変更が利くので、いろんなものが作れると思います!


 ぜひご活用ください。




 

2019年8月24日土曜日

手作り 自作 木製三脚を作ろう! ~ 脚部編 ~



 毎度おなじみ松尾バイトでございます。

 ちかごろ天体望遠鏡にはまっておりまして、先日は「スターアロー600」という新製品を開発(笑)したところです。


 スターアロー600
 https://arekore-doresore.blogspot.com/2019/08/blog-post_18.html


 ところが、せっかく鏡筒から何からほぼ自作なのですから、スリックの三脚なんかに載せるのではなく、



 三脚も自作!手作りしたい!


と思うのは自然なことです。


 というわけで、さっそく作ってみましょう。三脚といえば「天体望遠鏡」にも、「カメラ」にも「ビデオ」にも使える優れもの!

 買えば数千円でそこそこいいものが買えますが、自作してこそ男の道でございます。


 既成材でも廃材でも作れる設計にしていますので、ぜひいろんな場面で活用してください!


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じゃん!まずは完成品を。今回は脚部分を作ります。ヘッドはいろんな用途に使えるように、アタッチメント方式で別に製作です。




 自作三脚にはいろんな先行事例がありますが、今回つくるものは「閉じることができる」という設計です。金具などでガチガチに固めてしまわないタイプです。


 オリジナルの設計はコルキットという紙筒望遠鏡のキットを作っておられる会社が出していた「木製三脚キット」に似ています。

 このキットは現在販売されていないので、ざっくり参考にしましたが、寸法も細部の設計もほとんど知らないまま、当方でアレンジしています。基本構造は似ているはずです。

(コルキットの木製三脚もいろんなバリエーションがあって、初期型はL型金具のようなもので脚を支えて、スプレッダ(開き止め)も金具で固定してしまうため、閉じることができない構造だったようです。後期型はスプレッダをなくして、その代わりにおそらく閉じることができるようです)


コルキットの木製三脚
http://www.orbys.co.jp/e-shop/24_57.html

(コルキットと私のものとは、三角の板の数が違います。また、鏡筒を支える経緯台の金具がコルキットオリジナルなので、それを使わない形で設計しなおします。

 コルキットさんの三脚は部品点数も最小で、よく考えられていると思います。再販してほしいなあ!)



 では、作ってゆきましょう。






 台座部分です。今回は廃材利用。

■ 各辺100ミリに切り出した正三角形の板 2枚 厚みは9ミリのコンパネなど。

■ 棒材 規格材だと24×24の棒もしくは25×25の棒 長さ60が3本

(写真のものは、廃材でうちにあった20×24の棒を60に切り出したもの)


 こんな感じに組んで、木工ボンドで接着します。


 がっつり貼り付け。均等に3つの脚が出るように、事前に図面をかいておいたほうがいいですね。


 二つの三角でサンドイッチして貼り付け。これでかなりの強度が出ます。



 さて、足になる板は、

■ 板材 30×6×910の規格材かそれに近いもの。6本。

(今回は建材の緩衝材に使われていた30×8×1100の廃材を使いました)


 

 輸送用パレットの長さが1100なので、その長さになっています。不要な部分を切ります。廃材だと節(ふし)があったりする箇所は除いたほうがいいと思います。


 この写真の真ん中の「節」が残っていると、途中で折れる原因になるので、切り取って900に加工しました。




  台座の3本に穴あけ。また足の板にも穴あけです。板の穴あけ位置は両端とも30ミリのあたりで大丈夫。台座の3本は、足の板とあてがいながら穴の位置を調整してください。(足板の幅との兼ね合いでかまいません)


■ 台座部分のボルト M4 60のなべ小ねじあるいは六角ボルト

■ 台座部分にはM4の蝶ナットが必要です。(脚をしめるネジ)




■ 足さきを止めるのは M4 30のなべ小ネジあるいは六角ボルト

■ M4ナットは通常品でOK。 蝶ナットでなくてもかまいません。





 足さきは30の小ネジで止めてしまいます。きつく締めておきます。

 台座のほうは、60のネジと蝶ナットで締めます。




 こんな感じで、組み立てると三角の台座に当たって脚が一定の場所で止まります。これが脚の開く角度に相当します。

 開き止めをつけてもいいのですが、なくてもある程度安定します。このあたりはコルキット新型三脚の設計は、よくできていると思います。

 ただ、製作の精度によっては、最大開き角度で開いたとしても「水平が出ない」場合があります。

 木材の特性、曲がり具合、穴あけ位置のずれ、などにより必ず「水平ずれ」は生じますので、気になるほど水平が出ていない場合は、



 長いほうの脚の足さきを実際の水平具合にあわせて削る、もしくは切るなどで脚を短くしてやってください。

 これで、ある程度の水平は出せると思います。




↑の写真は、水平を出す前なので、やや左に傾いているのが写真でもわかると思います。

 てへぺろ。



 というわけで次回はヘッドをつけますよ!


 3種類のヘッドを想定しています。


A 自由雲台をつける!


B コルキット式経緯台をつける!


C カメラ雲台をつける!


の3話です。おたのしみに!




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 補足


 脚の強度を出したい場合は、ちょうどサイズにあうブロックをボンドでつければOK。







 これだけで、脚のふにゃふにゃ感がゼロになります!



おためしあれ。