2013年10月30日水曜日

zineの作り方番外編 A4プリンタには隠された能力があった!

こんにちは

zineづくりに励んでおられるみなさんには、ご機嫌うるわしゅう。

さて、今日は、誰も知らない知られちゃいけない♪ あんな秘密を大公開!

(元ネタはデビルマンです。年齢がバレます)

いま、zineづくりの主流はA5サイズの中綴じzineが多くなっていますが、その理由はみなさんが個人的に使えるプリンタがA4サイズのマシンである、ということも大きな理由だと思います。

業務機や会社にあるコピー機などだと、A3から自由に出力できるものが多いですが、さすがに会社の備品を使うわけにもいかないので、zineの製作者さんたちは、おうちにあるA4プリンタを使っておられることが多いのではないでしょうか。


では、A4プリンタで作れる本って、どんなサイズになると思いますか?

「まずは、A5サイズの中綴じ本だよね!」

そのとおりです(^^

「小さいほうは、豆本から作れるし、A6サイズの文庫本も作れそう」


はい、そのとおりです。ちいさい本もOK、文庫本もOKです。





実際、上記のふたつはわたしもふだんから作っていますので、ばっちりです(^^





さて、ここで少し考えてみてください。



「本格的な装丁の、いわゆるハードカバー単行本はつくれるでしょうか?」



答えは、ノーです。



きちんとした製本をしようと思うと、単行本サイズ(かりにA5サイズ単行本としましょう)の本文用紙は、それより大きい紙を2つ折りにしてかがってありますから、A4プリンタで作れそう・・・・、ですが。



残念なことに、表紙部分は、それより大きい紙を折りこんで作るので、表紙が作れないことになるわけです。





では、「単行本サイズの無線綴じ(簡易装丁)本はつくれるでしょうか?」



どう思いますか?



答えは、イエスなんです!



ちょっと想像してみてください。頭の中でイメージすると、かしこい人は「うーん、やっぱりむずかしいんじゃないの?」と思うと思います。



「たとえば、A5サイズの本文はOKだとして、それをくるむ表紙は、A5×2、それに本文の厚みの分だけ必要なんだから、A4からは長さが足りないはず」



ということ。



「すっごく薄い本で、厚みがほぼ無視できるとか、逆に本文用紙を少しカットするならできそう」



という代案もありそうですね(^^



ところが、実はそうではないのです!

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私たちが手元に持っているプリンタは、日本国内ではA4プリンタと言われていますが、外国へ輸出されるときは、A4サイズの紙だけを相手にしているわけではありません。

たとえば、アメリカでは「レターサイズ」なんて寸法の用紙がたくさん用いられているし、タイプライターの時代から、インチ計算の用紙がふつうにそこらへんにあったりするわけです。

さて、アメリカの公文書に用いられる「リーガルサイズ」という紙を知っていますか?

これは、215.9×355.6というサイズなんですが、リーガルというだけあって、法律文書・公文書などに多く用いられているそうです。

ということで、A4プリンタは、海外規格も考慮されているので、実は
「リーガルプリンタなのです!!!!」


これが、いったいどういうことかというと、写真を見ればわかります。

イメージ 1
リーガルサイズというのは↑こんなの。

詳しい寸法は調べてもらえばいいのですが、ざっくり言えば

「幅はA4よりちょい大きくて、長さはB4よりちょい短いくらい」

になります。横に長い!!!

ためしに、A5サイズの本文を載せてみます。

イメージ 2
はい!どうですか?これくらい余裕のある大きさまでA4プリンタは印刷できるのです。

これで勘のいい人はわかったと思います。

「おお!じゃあ、A5サイズ、くるみ製本の無線とじなら、辞書くらいの本まで作れるね!」

ということ。

イメージ 3
↑こんな感じの本まで、作れちゃいます。(ただし、表紙は一枚モノのくるみ製本ですが)

 すごいポテンシャルでしょ?!A4プリンタ。

 みなさんの手元のプリンタの性能表をみてください。かならず、最大印刷可能寸法は、リーガルサイズになっているはずです。

 というわけで、ぜひ中綴じ本から無線とじ本へとステップアップしてみてくださいね!


 ちなみに、表紙に使いたいリーガルサイズの紙は、B4から切り出して作りましょう(笑)

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★無線とじ、ボンド製本のすべてがわかるワークショップ開催。
 11月10日(日)兵庫県立丹波並木道中央公園さんにて★

一回覚えれば、死ぬまで応用が効く、「ボンド製本」のワークショップです。

木工ボンド系使用の湿式の方法と、ホットボンド併用の乾式の2種類をおりまぜてレクチャーします。


作るのは文庫本サイズですが、基本を覚えればどんなサイズでも製作可能です。

費用は600円。

申し込みは、公園事務室まで TEL 079-594-0990

2013年10月28日月曜日

「はじめてのzine」ワークショップ第十六回 無線綴じzineを作る

こんにちは

 zineに関係するいろんなところで告知をしているのですが、当ブログでもお知らせしておきます。

 平成25年11月10日(日) 手作り文庫本を作るワークショップやります~

  私はゲスト講師でございます。

 


 場所は兵庫県立丹波並木道中央公園さん(篠山市 JR福知山線丹波大山駅下車すぐ)

 あらかじめキット化した材料を使って、糊(ボンド)だけで製本する「無線とじ」の本を作ります。

 詳細はこちら

 ↓

丹波並木道中央公園さんのページ



で、遠方のため参加できない!という方も多いと思うので、無線とじ本の作り方を動画にしておきました。

ワークショップの当日も、これに準じた方法で製本します。(ほかにいろいろ細かいコツはお教えしますが)

zineの作り方 ~手作り文庫本の作り方~

 A4プリンタで材料を印刷して製本する場合、おおむね同じような作業内容になると思います。

 ボンド製本をやってみたい!という方はご参考になさってくださいね。

 自作ライトノベルなんかを文庫本にしたい人には、まさに最適です。

2013年10月23日水曜日

「はじめてのzine」ワークショップ第十五回 『1paperzine-12』の巻

 こんばんは

ゆっくり更新中の松尾バイトです。

さて、もうずいぶん前にネタが終わって?いた「はじめてのzine」シリーズの記事ですが、今回はなんと新ネタで更新です!

とにかくzineに関する最新情報をお伝えする、ということで、今日は「1paperzine」のニューバージョンについてお届け!

 1paperzineという名称は、主にzine部関係のメンバーで使われているのですが、世間では「折り本のzine」とか「1枚の紙で作るzine」とか、「8P折り本」とか呼ばれているアレです(^^

zineを作る人たちの間で広まってきているからか、PC上でこの1paperzineを作るツールも少しずつ登場しているようで、ブラウザ上で動作するものやwindows上で動作するものなどがありますよ!


さて、今日は、そんな1paperzineの新型をご紹介します。

題して「1paperzine-12」!!!

12ページの大容量に進化した1枚モノzineですよー!!




とにかく実際の型を見てみましょう。これまでと同じように切れ込みをひとつ入れて作るのですが、

あ、図に切り込みの箇所書くの忘れた!!!

⑥から⑨の間の横線のところだけ、切込みを入れてください。



⑤  ⑥  ⑦  ⑧  ⑨  ⑩

○○=========○○

④  ③  ②  ①  表  裏



(======部を切ります。)



通常の1paperzineを作ったことがあるひとなら、理屈はわかるはず。全く原理は同じです。

8ページバージョンの折り本とどこが違うかと言えば、1ページの部分が「3分割」になっているところ。


折った図は↑こんな感じ。中心部分はくっついていないので、折り込んで納めます。

さて、この”1paperzine-12”は、構造上ふつうのA4用紙などで作るとかなり縦型になります。

ということは横書き文書より縦書き文書の方が合う、ってことでもあります。



☆元ネタは、8P折り本などで短歌zineを作っておられる

http://blog.goo.ne.jp/imawik/e/7f8c5658e29fd701907794c060324aaf

のみなさんの作品です。(北緯43度 村上きわみさんのページ)

☆ただ、12Pバージョンの発案者が村上さんたちなのかどうかはわかりませんでした!他にネタ元があるかもしれません。

☆↓のわたしのバージョンでは、表紙位置を変えてあります。右開き本の場合、わたしはめくる表紙が二重になってぺらぺらするのが嫌なので、折り目がくるようにページの割り振りを変えます。



で、さっそく縦書きレイアウトを生かしたサンプルを作りました。

練習がてら作ってみてくださいね!







ネタはもちろんあの国民的「ひ弱男子と金髪娘」!かなりオマージュ満載ですが、元ネタから離れて読んでも成立するように作っています。

楽しんで~!

2013年10月10日木曜日

奈良美智さんとラッセンさんと村上隆さんについてのあれこれどれそれ

こんばんは

 アートとクリエーションにまつわるいろんなことが巻き起こっている最近ですので、一応触れておきます(^^

 こんな貧相なブログですが、期待してくださっている方も多いようなので・・・。ありがとう浜村淳です。

 
 さて、今週に入ってからアート界をにぎわしている(?)奈良美智「ラッセン嫌い」騒動。


 概要はこちらから↓(j-castニュースさん)


 
 まあ、簡単に言えば、「ラッセンファンと、奈良美智ファンがかぶっているかどうか」のあたりから、芸術論へと微妙に発展していくわけですが、奈良さんは、自身のファンがラッセンファンとかぶっているんだったら、超心外なんだそうです。

 アート、芸術というのは、究極的には「創作物に対しての解釈の違い」ですから、ある作家のファンというのは「その作家に対して共通認識のある解釈者・理解者の集い」と考えることができます。

 そのとき、Aという作家のファンとBという作家のファンを並べてみると、それらが「同じくくりで見れるか、見れないか」「芸術的な共通項があるか、ないか」あたりが議論になっていくのでしょう。

 
 それこそ解釈はいろいろあるでしょうが、一連の騒動は

「奈良美智さんの芸術性とラッセンさんの芸術性に共通項はあるか」

という点においては、議論になっていません。

それより

「奈良美智さんの商業的取り扱いとラッセンさんの商業的取り扱いに共通項があるのか」

というあたりのツッコミからスタートして、ちょっとずつベクトルがずれて

簡単に言えば

「奈良美智ファンのミーハーさと、ラッセンファンのミーハーさに共通項があるのかないのか」

が議論の中心へ移っているような気もします。私の理解不足だったらごめんね・・・。


 さて、そもそもファンとは「解釈者・理解者」なのですから、奈良さんからすれば自身のファンは、「自身の理念・考えがある程度伝達された相手」と考えるのがふつうで、もちろんその文脈で語っておられます。

ところが、商業セカイにおけるファンとは、一方で「ミーハー的に、「まぢこれ可愛い!」」という真の理解者ではない、表面的共感者をも含みます。

そもそもの議論は「奈良美智ファンと自称する表面的共感者とラッセンファンを自称する表面的共感者は、表面的共感者という意味において似ている」ぐらいの話なのでしょうが、それが「真の理解者なのかどうか」になってくると、こいつはどうもいけねえ。ってことに(苦笑)

なんでいけないかというと、「真の理解者にだけ伝達しているのが芸術なんだったら、商業セカイで販売するのはやめちまえ」になるし「表面的共感者(カワイイ!っておもってくれる一般ピープル)をバカにしてんのか」とか、そういうことにもなるからです。

ああ、やっかいやっかい猪八戒。

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そんな折、あの村上隆さんも、ツイートしてるもんだから面白い。


こちらは「なんでオレばっかり嫌われるんじゃ~」という意味の内容をつぶやきまくっておられます。

この話も根底ではつながっていて、奈良美智は芸術で、ラッセンは商業芸術で、村上隆はむしろ商業そのもの、みたいな暗黙のくくりがセケンの論調としてあるから、村上さんとしては、困ったなあとお思いになのも仕方ないというか・・・。


ちなみに、私は村上さんは「芸術界にパトロンたる貴族層なきあと、至極まっとうなことを言っている」と思うのですが、やっぱり直接的にそれを言ったらおしまいよ的オーラもあるようなないような(^^;

村上さんの理論は

「芸術起業論」

という本にまとめられているので気になる方はどうぞ。

お金学さんのブログで簡単にまとめられているので↓おすすめ。



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翻って、ボクタチあたしたちのやってることは、「芸術」??それとも「アート」??、はたまたただの「モノづくり」??

クリエータであることって、崇高な理念と毎日のショボイ生活とのハザマの中で、上いったり下いったり、迷ったりするこの「今」なんだと思います。

商業的に成功した作家さんは作家さんで「オレっていま芸術なのかな?それとも商業に成り下がってんのかな」と悩むだろうし、逆に市井の食えない作家は「商業的にも成功したいなあ」って素直に思うだろうし。

まあ、みんなで悩みましょう!それこそが生きている証!

2013年10月9日水曜日

仕事をしながら創作するということ。 二足のわらじのクリエータ。



おひさしぶりです。

 毎度、かなりの激務に励みながら時間を見つけてこれを書いています。今月は、朝4時台から仕事をしたり、それほど早くなくても6時台から現場に向かったりしていたので、ひとことで言えば「眠い!」以上。



 というわけで、バリバリ通常の仕事をこなしながら、創作活動にもいそしんでいるわけですが・・・(^^;

 zine関係の展覧会に出品していたのでその製本に追われたり、もうちょっとしたら神戸の某お祭りのブースで、別名義がらみの生出演があったり、まあ、どっちも忙しいです。




 さて、今日は、面白そうなネタがあったのでご紹介。

 話題の本の著者に直撃!のコーナー <現代ビジネスさんの記事より>

 「桐島、部活やめるってよ」の作者である浅井リョウさんのインタビュー記事です。

 ぜひ、お読みください。



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 直木賞作家の浅井さんは、なんとプロの作家でありながら、会社に就職して2足のわらじを履いておられる、とのこと。

 いつもクリエータ養成講座でも言ってますが、アマチュアクリエータだからこそ、「今の仕事」を大事にしなさい、ということを裏側からみた感じで、たいへん興味深く読んでしまいました。

 浅井さんは、専業作家ではなく、いわゆる社会人であることで、いろんな「バランス」を取ることを重視なさっています。
 プロがあえてそういう視点で語ってくださることは、ぼくたちわたしたち「クリエータをめざすもの」にとっても大事なポイントだと思うのです。




 さて、似たような話をもうひとつ。私はふだん某ちょっとだけ伝統技能っぽい業界にもからんだ仕事をしていますが、その業界では「いろんな造形物を作る」という仕事があります。

 私は取り扱い業者なので、その造形物を仕入れたり販売したり、特注の際には発注したりするのですが、とあるメーカーに面白い方がいて、彼はもともと東京の某有名フィギュアの会社に所属していたりした、プロのクリエータさんなのです。

 ところが、その彼は今、玩具やフィギュアとはまったくちがう別の畑で、ふつうの会社員としても仕事をなさっています。会社のほうも彼の経歴を十分理解していて、もともと我々の業界が「造形物」をつくる仕事内容があるもんだから、その専門家として招いているわけです。



 会社は、東京からみたら超ド田舎村にあります。彼はその地方に住んでいながら、もちろん今も東京とやりとりもしているし、有名漫画家さんや有名出版社等ともおつきあいがあるし、でもふだんはその「ふつうの人は誰も知らないような会社」で会社員をしているのです。

 先日、私は仕事がらみで、その造形物の補修に使うパテのことでいろいろ電話口でお話させてもらったのですが、担当の営業マンさんから「実はさっきの人はこれこれこういう方なんですよ」と教えてもらってビックリした次第!!




 モノを創造する仕事、というのは、ある意味会社に属していてもできるし、そうでなくてもできるし、面白いなあ。彼の働き方も、すばらしいなあ、と思っています。

 (ほんでまた、東京一辺倒のこのセカイの中で、地方で仕事をしているところが超クール!だと思いませんか?)