2019年7月28日日曜日

謎の天体望遠鏡 million は、入門機の名作と呼ばれた ラプトル の原型か?



 現在、チープな天体望遠鏡に絶賛ハマリ中な松尾バイトさんですが、チープと言っても天体望遠鏡には



 ◆ 完全なるおもちゃ

 ◆ ちゃんとしたおもちゃ

 ◆ 大人のおもちゃ=入門機

 ◆ 折り目正しいマシン・中級機



といった順に、いろいろなグレードがあります。


 チープ好きではありますが、さすがに「完全なるおもちゃ」は除外、ということで、小学生とかが最初に買って、一応ちゃんと星が見える!という「ちゃんとしたおもちゃ」からをその対象としています。



 で、その定義は、


 ○ レンズがシングルではなく、アクロマート以上であること(複合)


 ○ 実売価格は1万円前後 (5000円程度のものは論外)


 ○ 口径50㎜以上  焦点距離600㎜以上 


 
 てな感じでありましょうか。



 ちなみに、大人の(おい!)おもちゃシリーズとしては、ビクセンのポルタ以上を推奨いたします。




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 さて、近年本当にお子様向けの「超すばらしい天体望遠鏡」なるものが各所で話題になっていて、ともかく


 ちゃんとしたおもちゃ


の中では、正真正銘ちゃんと折り目正しいので、初学者がバリバリ使いこなせるというある種の名機として人気のようです。



 そいつの名前はスコープテックのラプトル50/60



 ラプトル50
 http://scopetown.jp/prod_st_raptor_1.html?utm_source=ad&utm_medium=ppc&gclid=Cj0KCQjwsvrpBRCsARIsAKBR_0JVuEV2GpWG5pOl3dJKdLvHgFNBnoz9MXz62oHx9XkhwOzZw0bAamcaApxwEALw_wcB



 このシリーズは、おもちゃレベル入門機ながら、ツボを押さえた仕上げと構成で、


「ほんとうに始めた触れた子供が、使いこなせる」


と大好評なのだとか。



 販売者はスコープテックさんですが、製造は大一光学さんとのこと。



 で、この大一光学製のマシンが、いろいろと面白いので、今日はそのあたりのお話を。




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 前回、ビクセン入門機についてかなり詳しくレポートしましたが、その中で漏れている面白い機種があるのです。


 銘板などがちゃんとついていない謎のマシンとして、オークションなどではけっこうな頻度で登場するそのマシンは



 ◆ ファミリー800  口径50㎜ 焦点距離800㎜  スチール三脚 フリーストップ


というもの。


 この機種、「ビクセン製」「大一光学製」と情報が二通りあるのですが、おそらくは製造したのは
「大一光学」で、ビクセンが販売していたこともあるのでしょう。


 というのも、このファミリー800のスチール三脚が、ラプトルの三脚によく似ているのです。




 しかし、ファミリー800は800㎜というやや長い取り回しの鏡筒と、サブスコープ付きで、全体としては、いわゆるふた昔前のド素人向け入門マシンという構成に読み取れます。




 このファミリー800が銘板なしのいわゆる「メーカー無印」製品だったらしいことと関連して、もうひとつ、謎の機種名を持ったシリーズがありました。


 それが


 ◆ ミリオン(miliion) M-60  口径60㎜ 焦点距離600㎜ スチール三脚 フリーストップ


 というもの。


 こいつはなんと!サブスコープなしで、のぞき穴ファインダーを持っているのです!



 この「のぞき穴ファインダー=照準」の作りでピン!ときます。



 これは、きっと、ラプトル60の前身に違いない!と。





  実はmillionからは、もう少し高級な構成のマシンも出ていました。


 

  ◆ ミリオン(million) 型番不明  口径80㎜ 焦点距離700㎜  アルミ架台 微動付



 このあたりは、現在のスコープテック品とは構成が異なりますが、メーカー無印な感じが、気になります。



 写真や部材を見る限りでは、



 「ミリオン M60」 のブラッシュアップ版が 「ラプトル60」で、それを簡素化したものが「ラプトル50」なのかな~と感じます。


オールドな天体望遠鏡で、「のぞき穴スコープを持つ唯一のマシン」それがmillion M60なので、中古でみかけたらぜひラプトルとの違いを確かめたいものですね。



2019年7月26日金曜日

Vixen ビクセン入門用天体望遠鏡の奥深い世界



 うちの天才児(どこが)な息子が、宇宙やら天体やらにやたら関心があるので、Vixenの入門用天体望遠鏡を買いました。


 っていうか、でも梅雨やら台風やらで、まだ肝心の空のお星様は見えていないのだけれど。



 息子は小学生なので、ちょうど星を見るにはぴったりのお年頃なのだけれど、私もその昔小学生時代に屈折式の天体望遠鏡を買ってもらったことがあったので、かなり懐かしい気持ちで、新しいマシンを購入しました。


  はてさて、当時の私の天体望遠鏡は、親父が亡くなって実家を大整理したときにたぶん処分したのか、その前に親父に処分されていたのかわかりませんが、もうかなり前には無くなっていたなあ!





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で、今回買ったのはVixen(ビクセン)のスペースアイ600という初心者向けの天体望遠鏡ですが、いちおう入門編にしては三脚がまともだったのと、微動装置がついていることと、価格のバランスで決定。


 1万3千円程度で実売です。


 スペックは 

◆ 対物有効径 : 50mm 
◆ 焦点距離 : 600mm 

のごくごく入門編なマシンです。接眼レンズ・アイピースは

◆K20mm(30倍) と K6mm(100倍)

が付属で、これもまた平均的。



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 さて、問題はここから。ビクセンという会社、現在もHPにこの機種のことはほとんど載せていないのですが、


【大人向け、入門編ではないマジな天体望遠鏡】


からはちゃんとHPに載せて、それ以外の


【こども向け、入門編な軽いノリの天体望遠鏡】


はHPにも載せず、コロコロシリーズを替えるという楽しい特徴があります。



 マニアな松尾バイトさんとしては、このマニアックな


「素人さんよ、しろうとさん♪ 空を見上げりゃ~♪」


な素人天体望遠鏡のシリーズがいったい全体どうなっているのかが気になって、調べ始めました。



 そうすると出るわ出るわ!


「昔の名前で出ています♪」


じゃないけど、すぐに源氏名が変わるビクセン入門機のオンパレード!!!!



 というわけで、集められるだけデータを集めますね!



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<現行機種 2019現在>


 ◆ ビクセン スペースアイ700  口径70㎜ 焦点距離700㎜ フレキ微動付 アルミ三脚


 ◆ ビクセン スペースアイ600  口径50㎜ 焦点距離600㎜ フレキ微動付 アルミ三脚


 ※スペースアイ70M/50Mのバージョンアップ版だと思われる。 微動のハンドルがフレキシブルで長いのが特徴

 ※鏡筒のフードのデザインがかっちょいい。




<一世代前>


 ◆ ビクセン スペースアイ70M  口径70㎜ 焦点距離700㎜ 微動付 アルミ三脚


 ◆ ビクセン スペースアイ50M  口径50㎜ 焦点距離600㎜ 微動付 アルミ三脚


 ※現行機種のひとつ前。微動ハンドル(つまみ)が短い。

 ※鏡筒のフードのデザインはシンプルで普通  



<一世代前>


 ◆ ビクセン スターパル60L  口径60㎜ 焦点距離910㎜ フリーストップ スチール三脚


 ◆ ビクセン スターパル50L  口径50㎜ 焦点距離800㎜ フリーストップ スチール三脚


 ※入門用だが、スペースアイシリーズとは口径と焦点距離が異なる。ビクセンの入門機だけれども中級機という位置づけに「ポルタ」というシリーズがあるのだが、ポルタ>スペースアイ>スターパルという順番になっているように思われる。 

 ※ポルタシリーズから上位は、ちゃんとHPに載っている。


 ◆ ビクセン コスモスター60M  口径60㎜ 焦点距離800㎜ フォーク型 スチール三脚


 ◆ ビクセン コスモスター50L  口径50㎜ 焦点距離800㎜ フリーストップ スチール三脚


 ※スターパルの廉価版らしい。なぜか60Mのほうは、ミードのフォーク式経緯台みたいな三脚。

 ※倍率250倍をうたっているが、このクラスでの倍率は100倍程度がふさわしい。 盛り気味。



(1990年代?)




<謎世代>


 ◆ ビクセン ダイナスコープ50  口径50㎜ 焦点距離630ミリ おまけ程度の2段三脚

 ◆ ビクセン VT-815  口径50㎜ 焦点距離630㎜  おまけ程度の伸びない三脚


 ※ビクセン歴代の中でも「もっともおもちゃに近い」マシンだと思われる。三脚が小さくおまけ程度。おそらくシングルレンズ。 

 ※そのおもちゃの中でも、さらに三脚が伸びない兄弟機種がVT-815 ちゃちさは、もはやすごい!


 
 ◆ ビクセン アクション50L  口径50㎜ 焦点距離815㎜ フリーストップ スチール三脚 

 
 ◆ ビクセン アクション60S  口径60㎜ 焦点距離420㎜か? フリーストップ スチール三脚

 
  ※ おもちゃからちょっとだけ進化したシリーズ?もうこのへんはよくわからない。





 ◆ ビクセン ニューシリウス60L  口径60㎜ 焦点距離910㎜ フリーストップ スチール三脚

 ◆ ビクセン ニューシリウス60M  口径60㎜ 焦点距離800㎜ フリーストップ スチール三脚

 ◆ ビクセン ニューシリウス50L   口径50㎜ 焦点距離800㎜ フリーストップ スチール三脚



 ※ビクセンのロゴが古い。型番にLがつくと焦点距離が長く、Mがつくと短いのだろうなあ、となんとなくわかってきた。

 ※ニューシリウスは800~910と鏡筒が長いので細長い感じがする。

 ※その昔、シリウスシリーズもあったという。



 ◆ ビクセン シリウス60L  口径60㎜ 焦点距離910㎜  木製三脚
 

 ◆ ビクセン シリウス40L  口径40㎜ 焦点距離800㎜  木製直脚(長さ調整不可)


 ※旧ロゴ。昭和感溢れる。オークションでもたまーに出るくらい。口径40で800㎜ってどんだけ細長いねん、というデザイン。




 ※ 旧世代の入門中級マシンとして「カスタム」というシリーズがあり、これが木製三脚を搭載。


 ◆ ビクセン カスタム90  口径90㎜ 焦点距離1000㎜ 木製三脚 フレキ微動付

 ◆ ビクセン カスタム80  口径80㎜ 焦点距離910㎜ 木製三脚 フレキ微動付

 ◆ ビクセン カスタム60L 口径60㎜ 焦点距離910㎜ 木製三脚 フレキ微動付


 (1980年代?)



 ◆ ビクセン シグナス60L  口径60㎜ 焦点距離 800㎜ 木製三脚 フォーク式


 ※ カスタムより下のラインナップか?このシリーズも古めかしい。



 ◆ ビクセン オリオン8E  口径80㎜ 焦点距離1200㎜ 木製三脚 赤道義

 ◆ ビクセン オリオンP-80L  口径80㎜ 焦点距離1200㎜ 木製三脚 赤道義


 ※たぶん入門機というよりは中級機。口径も大きく、焦点距離1200㎜というのが長くてグッド。



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 こうしてみると、ビクセン初号機、いや初心者向け機は



 口径50~70㎜


 焦点距離は短めに600~700㎜へ


 架台はいちおう、よりガッチリ系へ


 微動つけちゃうよ



と進化してきていることがわかりますね。細長い形状から、現代のおうち事情に合わせてなのか、短くなってきています。


 

このほか、大一光学製のOEMマシンもあるそうなので、さらにカオスです。