前回に続いて、今度は三脚のヘッドを作りましょう。
三脚のヘッドというのは、用途に応じていろいろ形状が異なります。
天体望遠鏡向けの場合は、「経緯台」を作る必要がありますが、A)「自由雲台」でも代用可能です。
コルキットさんの木製三脚の経緯台は、もともとコルキット望遠鏡に直付けを想定しているため、ほかの用途に三脚を流用することは考えられていません。
当然、三脚と望遠鏡はがっちり一体となってしまうため、結束バンドなどでの仮止めが推奨されています。
今回の「松尾式三脚」では、このB)コルキットがっちり経緯台も、既成部材で再現します。
そして最後に、いろいろな応用が利くようにC)カメラ向け雲台も開発しちゃいました。
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A 自由雲台を取り付ける
前回製作した台座(三脚)に、自由雲台を取り付けます。近年では中国製の安価なものが数百円で出回っています。HAKUBAの自由雲台も1000円程度からあります。
自由雲台には、下に「1/4インチネジ穴」があるので(他サイズの場合もあります)、三脚の台座から「1/4インチネジ」を突き刺す感じになります。
必要な部材は
■ 六角ねじ 1/4 75ミリ
■ 六角ねじに対応したノブ(M6用が代用できます)
■ ワッシャー(M6用が使えます)
です。
三脚の下からネジを上に出して、自由雲台のおしりに突き刺す形です。ただし、自由雲台は、締め付け用のネジが横から出ているので、それが台座に干渉します。
干渉を避けるためには、
■ 24×24 もしくは25×25の木材を20ミリ程度に切ったもの
をスペーサーとして間に入れます。
これらを合体させると
という感じ。実際の雲台との接合においては、高さ調節をスペーサー木材で行ってください。
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B コルキット互換経緯台
コルキットさんの木製三脚キットは、鏡筒を支える金具がオリジナルで作られており、これが台座よりも小さいことで、三脚の脚が干渉しないように設計されています。
すばらしい!
ところが、市販の既成部材では、この鏡筒支持金具が売っていないので、おなじ機能をもつものを自作しなくてはなりません。
これも木材で作りましょう。
■ 9ミリ~10ミリコンパネを直径100ミリに切り出したもの
■ スペーサー木材 (大) 60×60×20程度の木材
中心に穴を開けます。
■ L型金具 2つ
■ 30×40×80程度の木材 鏡筒支え
■ M4の50ミリネジと蝶ナット
■ L金具を取り付ける10ミリ程度の木ネジ
これらを組み立て、台座の中心にネジを下から差し込みます。今回は1/4インチネジでなくてもかまいません。M6ネジでOK。
■ M6 80ミリ六角ボルトと、ワッシャー
これを組みあげてゆきます。
鏡筒支えになる木材の長さによって、天体望遠鏡を取り付けた時に、天頂付近まで角度を上げられるかどうかが変わってきます。
写真のようにある程度の長さがあると、筒がついても天頂に向けられることがよくわかると思います。
構造は↑のようになっています。こちらもスペーサー木材で、脚に干渉しないように円形のヘッド台座を上げています。
スペーサー木材は接着してしまってもかまいません。経緯台として回転するのは、円形ヘッド台座です。
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C カメラ雲台への応用
最後は応用編です。
■ コの字金具既製品と対応したワッシャー(M6用の大きいもの)
と
■ 六角ボルトねじ M6 70ミリ と 下部(三脚台座用)ワッシャー
とチョイスです。今回もコルキット互換ヘッドで使ったスペーサー木材を使います。
組み方としては↑になります。
下から、M6ネジで突き刺します。それをコの字金具の下側で受けます。こちらは1/4ネジでなくても、下側と台座をつなぐだけなので、OK。
一方コの字金具の上部分は、1/4インチネジを下から出す必要があります。
写真では、
「1/4インチ六角ボルト」
「M6用大きいワッシャー」
「1/4インチ蝶ナット」
が写っていますが、この構成は単なるイメージ図で、実際にはこれでは役に立ちません。
ヘッド上部の下側から
「1/4インチ蝶ボルト」(蝶に棒がついたもの)
を突き刺してカメラなり、機材なりに締め付ける必要があるのですが、そういうものが既製品では売っていないので
■ 棒状の長ネジ、1/4インチサイズ
■ 1/4インチ蝶ナット
の二つを加工して、蝶ボルトを作る必要があります。金ノコで紀って、瞬間接着剤や強力接着剤でボルトとナットをくっつけるということです。
(これは加工のレベルが高いので、最後まで自作にこだわりたい人向け)
あるいはチェンジノブをもうひとつ使えば、コの字金具の上部の下にもノブが来るように配置することはできます。
この場合は1/4インチ六角ボルトの長さが合うものをうまく探してきてください。
カメラの三脚穴は、機種によって異なるのですが、
ネジ穴深さ5.5mm以上
というのが多いようです。逆に言えば、5.5mm以上の長さを突き出させてしまうと、機材と干渉することがあります。
(参考)キャノンの見解
https://faq.canon.jp/app/answers/detail/a_id/12467
安全を考えると、突き出し長さは「5mm」というところでしょうか。
(座金、ワッシャーなどで調整する必要がありますね)
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とまあ、三脚足部とヘッド部の作り方をだいたい頭に入れておけば、各部の寸法などは自由に変更が利くので、いろんなものが作れると思います!
ぜひご活用ください。
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