2012年5月3日木曜日

松尾バイトの「zine学」入門 その6「本の歴史をたどってみよう(2)」



みなさんこんにちは

GWです。どこにも行かないでブログ更新していますが、そのうち出かけます(笑)

さて、本の歴史をさかのぼり中な「zine学入門」のコーナー。前回は巻物を取り上げましたが、少しずつ本に近づきます。

というわけで前回のおわりに「次は綴じることに注目するよ」ということをちょこっと書いたのですが、いわゆる

綴じる

という概念の一歩手前に変な?綴じ方があるので今日はそれを実験してみましょう。




<「胡蝶装」を体験する>

胡蝶装(こちょうそう)というのは、別名「粘葉装(でっちょうそう)」ともいうらしいですが、胡蝶という響きと、その形態が美しいので(蝶が止まっている姿になる)、私は胡蝶装の名前のほうが好きですね(^^

胡蝶装は「綴じる」というよりも折本の時にすこし出てきた「貼る」という作業の延長にある綴じ方です。



↑まず、紙を一枚用意します。今回はA4を半分に切ったA5サイズの紙を横置きに。

この紙を真ん中でいちど半分に折ります。

とりあえずは折るだけ。


おなじように、印刷されたおなじサイズの紙をたくさん作って、これらもとりあえず折ります。このとき、印刷された面が中向きになるように折ります。





↑折られた紙を2つ並べました。そして、画像で水色の線が引いてあるところに糊をつけます。

これをくっつけて貼ってゆくわけです。

つまり「綴じる」というより「貼る」作業ですね。


この胡蝶装、どこが蝶なんだ?!と思われるかもしれません。





まずは↑のように、ふつうに開いてみます。

もとが1枚の紙に折り目をつけただけなので、ふつうに平たく開きます。

ところが、



糊をつけたページのところは、ノリの部分だけ、「本のノド(奥)」まで開くことができません。

この姿が、チョウチョが止まっているように見えるから「胡蝶装」なのです(^^

ちょっと優雅な感じがしませんか?




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<ちょっと補足な講義>
胡蝶装はいろんなバリエーションがあって、基本は上の形なのですが、国や時代によって考え方がいろいろあるようです。

①片面印刷の胡蝶装

片面印刷での胡蝶装は、印刷面が内側になるように折って貼ることになります。つまり、綺麗に開く面が常に印刷面になるわけです。

すると、胡蝶になる面は印刷していないので、白い紙がそのまま開くことになりますね。

はい、それでOKらしいです(笑)

つまり、このタイプの胡蝶装では、印刷面ページと真っ白い紙面ページが交互にきます。


②片面印刷の胡蝶装+改造版

↑のように白い面が見えてどうもなあ、ということで、白い面同士を糊でくっつけて見えなくしてしまう、という方法もあります。

印刷面が常に見えて、白い面は糊付けで隠れてしまう、という方法です。


③日本式胡蝶装(両面)

日本の胡蝶装は印刷ではなく手書きが多かったため、両面バージョンになっていました。つまり、白いページはまったくなく、その代わりノドまで開くページと、開かない(蝶になる)ページが交互に現れるというしくみです。




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というわけで、ちょっと変わった装丁をしてみたい場合に使えるワザとして覚えておくといいですね!

この装丁は「廃れてしまったがゆえに、逆に今となっては新鮮な感じ」がします。

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