2012年4月13日金曜日
松尾バイトの「zine学」入門 その1「古代のzineを見てみよう」
こんばんは
本家zine部での「部活動」である「1paperzineを作ろう!」がどんどん進行中ですね(^^
私はとりあえず締め切りに間に合ったので(笑)、こちらのブログも再開モードです。
ワークショップもまだまだネタはあるのですが、「作る」方は、部活動にゆだねるとして、ここからしばらくは座学ということにしましょう(^^
というわけで、zineとzineをとりまくいろんなことを一緒に勉強?する「zine学入門」が今回からしばらく続きます!
<講義1>「古代のzineを見てみよう」
zineとは、そもそも何なんだ!という壮大なテーマを投げかけてしまいますが、さて、みなさんにとってのzineって一体なんでしょう?
zineの歴史がどうとか、同人誌とかミニコミとか、ファンジンとか、そういうことは一旦脇に置いておいて、zineってどういうモノだと思いますか?
私は、簡潔に言えば「自分の表現したいことを書く(描く)本に準じた形をしたもの」だと思っています。
表現したいことが映像であったり、音楽であったりする人もたくさんいると思いますが、とりあえずzineでは「写真とか絵とかことばとか」いちおう本の形で表現できるものが中心になっているのはご承知のとおり。
そして、本である以上「読み手」が存在するのも大事なポイントですね。
つまり、zineは「自分が誰かに何かを伝える本」だと思ってよいと思います。
そんな「あたりまえのこと」をナゼいまさら書いているかというと、実はこのことがzineを学ぶ上でとても大事なことだからです。
というのも、人類の歴史においては「文字を書く・読む」ということはずっと一部の特権階級にしかできない特殊なことであったし、また「誰かにそれを伝える」ということも、とても難しいことだったというのは、みなさんもどこかで学んだことがあると思います。
すっごく昔むかしには、文字は神様の占いを記録するためのツールで、神官が公的に扱うものでした。骨に刻んだのがいっちばん最初の「本」っぽいものかもしれません(^^;
それから、木簡に文書を残すようになったり、和紙に書いたりするようになったり、いろいろ進歩はしますが、「個人が自分の表現したいことを書いて広める」なんてことは、まだまだずっと未来のお話になります。
なにせ、文字を学ぶのもたいへんで、紙などの書きつけるものを持つにも、ものすごいお金や労力がかかる時代が長く続くことになるわけですから!
さて、そんなわけでzineのことを思い返してみましょう。
いち個人が「あ、あたしも本を作れるんだ」とか「あ、僕もzineを作って、みんなに読んでもらいたい」なんてことを思い付けるようになったのは、変な話ですが、つい最近のことですよね?
それまででも個人で出版したりすることは可能でしたが、自費出版なんかでもやっぱりかなりのお金がかかったり、労力もたくさんかかっていたのは、これまたご承知のとおり。
つまり、みなさんがzineを作れるようになったというのは、人類の歴史においても実はかなりすごいことで、もしかしたらこの21世紀は、新しい時代の幕開けなのかもしれません(笑)
________
さて、日本の歴史の中で、もっともzineっぽいことを最初にやってのけたのは誰でしょうか?(^^
「自分の書きたいことを書き、誰かに読んでもらう」という本っぽいものを自分の力で作ったのは、きっとおそらく紫式部さんではないでしょうか(笑)
世界最古の長編小説、なんていわれるくらいですから、公的記録ではない「自己表現」として「源氏物語」は最初のzineっぽいもの、といっても過言ではありません(笑)
源氏物語のzineらしいところは、「宮中の女性たちに回し読みされて、複写された」という点でもそうだと思います。
読み手あってのzineですから、日記のように個人の記録というわけでもありません。理想的な「交換」とは言わないまでも、いろんな人の手に渡ってこそのzineであることは、現代でもちっとも変わりませんよね。
紫式部のような平安期の女流文学は、ひらがなで書かれていることもポイントです。当時は男性社会で、正式な記録は漢文で書かれていたのに対して、「ひらがな」は私的で自由のシンボルのような文字でした。
紀貫之が女性の真似をしてひらがなで「土佐日記」を書いたのも有名なおはなしです。
さしずめ当時の「ひらがな」は
「公式なアドビ製品じゃなくて、フリーソフトのGIMPでzineを作るぜ」
とか
「モリサワのフォントはお金かかるから、フリーフォントをつかうぜ」
って感じでしょうか?ワイルドだろ?(笑)
こんな風にみてゆくと、zineの考え方や、文学のあり方の歴史なんかがちゃんとリンクしているのがわかると思います。
自由な自己表現ができるようになったzineの力をどう生かすかは、みなさん次第です。もしかしたら、千年あとに「源氏物語」に匹敵するようなzineが登場するかもしれないのですから!!
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿